季節外れな話だなぁ。
用具メインです。食満視点。
穏やかな春の陽光の合間を、ひらひらと、白い破片が舞う。
「先輩!蝶々!」
「ああ、うん」
後輩が指差した先で、一匹のモンシロチョウが優雅に飛んでいた。
さして珍しくもない種なのに、下級生たちは修理の手を止めて、キラキラした目でその蝶を追う。
放り出された用具を見て思わず苦笑したが、特に注意はしなかった。
別に作業に支障をきたすほどの間でもないだろう。
見つめられている事など気付いていないかのように、蝶はただひらひら、ひらひらと舞う。
「気持よさそうですね」
「作兵衛は詩人だな」
笑ってやると、作兵衛は恥じらったかのように顔を伏せた。
からかったわけじゃないのだが。
「あ!」
喜三太が声を上げた。どこからか、もう一匹の蝶が飛んできたのだ。
二匹は仲良く交互に交わりながら、高く遠くへと飛んで行った。
「友達だったのかな?」
「友達だったんだよ」
「待ち合わせしてたんだね」
「仲良いね」
1年同士が嬉しそうに囁き合う。無邪気な笑みが愛おしい。
「さ、作業に戻るぞ!」
「「「「はーい!」」」」
蝶が去った先にも暖かな光が注いでいた。
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目指せほのぼの話!
という訳で、単純にあったかい春の話に…。
春が似合う委員会は他にもありますが(生物とか)、なんとなく余計ほのぼのしそうな用具にしてみました。
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